about

焼け残った記憶を拾い、花を手向け弔う。その過程で生まれでたある一つの結論、ある一つの完成のかたちが、絵画だったり、物語だったりする。2017.12.18 マツウラミオ

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価値は相対

渋谷を訪れたついでに東急ハンズへ寄って、店の広さと複雑さに驚いた。地下二階から七階まである建物は各フロアが高低差のある複数のブロックに分かれていて、ひとまずエレベーターで上に行き順々に下って店内を回ることにした。一見使い方がわからない便利グッズをはじめ、変身用グッズ、健康器具、手品道具、調理用具など、使う機会のかなり限定されそうな品々が長い商品棚にぴたりと間を埋めて並んでいる。そういう「必要性があるのかわからないようなもの」に需要の過剰さを感じながら、作品制作に使えそうな厚さ15ミリの透明のアクリル板と角棒が目に留り、これに文字を刷るにはどの業者に頼むのが良いか、彫刻するといくらが掛るのかとあれこれ考えながらサイズ違いのものを一つひとつ手に取るうち―――こういう人間がいるから、需要は生まれるのか―――見渡すと、混み合う店内で自分のいる棚の列に誰もいないことに気付く。