about

焼け残った記憶を拾い、花を手向け弔う。その過程で生まれでたある一つの結論、ある一つの完成のかたちが、絵画だったり、物語だったりする。2017.12.18 マツウラミオ

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雪中で歌う

一面銀世界となった東北の山中(やまなか)で、降り積もった厚い雪に首まで埋まった女がその土地の民謡か子守唄かなにかを歌う映像を見た。雪は、ペンキで白く塗られた美術館の壁よりも遥かに白く冷たく感じられた。厳しい寒さに身を投じ、女はオオカミのように吠える。宙空のカメラが地表からさらに遠退くと、雪原に埋まった女の頭は胡麻粒のようである。およそ五分間の映像を前に、げらげら笑ったのち飽きて途中で出ていった若いカップル、部屋の中央に座り込んで鑑賞に耽る学ラン姿の中年男、その後ろを難しい顔で通過する会社員風の男、意味が分からないと野次を飛ばす若者風の装いをした年齢不詳の男女がいた。