about

焼け残った記憶を拾い、花を手向け弔う。その過程で生まれでたある一つの結論、ある一つの完成のかたちが、絵画だったり、物語だったりする。2017.12.18 マツウラミオ

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ゴッドファーザー・鶯

外から聞き覚えのあるフレーズが流れた。三度繰り返された短いメロディーは、リズムはおぼつかず音程は外れ、鳴り止んだそばからへたくそだなと口を衝(つ)いて出た。『ゴッドファーザー愛のテーマ』のワンフレーズは全六音で、バイクに六連のホーンを装備すれば容易に奏でられること、マフィアもののイメージがついてくることから走り屋に好まれるのではないかと推論立てた。もっとも件の演奏は、慣れない手つきで恐る恐る奏でられたようなたどたどしさとこちらにも伝わってしまう恥じらいの混じった緊張によって、曲が本来もつ貫禄だの厳威だのはすっかり打ち払われてしまっていたが。春先に鳴く鶯(うぐいす)はまだ鳴き方がなっておらず音痴だと、四月の晴れた日のグラウンドの真ん中で高校時代の体育教師が言っていたのをなんとなく思い出した。