about

焼け残った記憶を拾い、花を手向け弔う。その過程で生まれでたある一つの結論、ある一つの完成のかたちが、絵画だったり、物語だったりする。2017.12.18 マツウラミオ

023

夏の光

鋭い日差しのなか草叢の近くを通ると、水気を含んだぬるく青臭い空気が重たくまとわりついてくる。これが存外嫌いではなく、鼻に残る複雑なにおいから、植物だけでなく虫や動物がもたらす気配を探ってみたりする。五感が刺激される季節、といえようか、夏の公園の小道をぶらぶら歩いていると縦横無尽に飛び回る羽虫が腕や頰にぶつかり、どこからともなく漂ってきた蜘蛛の糸が絡まり、のろのろ這う蛙を踏みそうになり、思いのほか近くで鳴き始めた蝉の声に驚き、と、ろくなことがないのだが、半ば強引に、頭ばかりでどうにかしようとしている日頃の意識から逸脱させられるのには開放感がある。生物ばかりではない。強烈な夏の光は風景に強いコントラストをもたらし、動かぬものでさえ存在を主張してくる。

動静、明暗は、ある、ない、いる、いない、を際立たせ、意識させる。

夏は、そういう季節だ。